2005 International Consensus on CPR and ECC Science with Treatment Recommendations (CoSTR)
                                    2005年1月 22-29日

1.公開情報 http://www.c2005.org/
このサイト(AHA)で、会議内容と全てのトピックスとその検討ワークシートが公開されている。

2.ILCOR国際ガイドライン作成の経緯
1992年に設立された国際蘇生連絡協議会(ILCOR)は、加盟する世界各国の蘇生協議会とともに心肺蘇生法に関する国際ガイドラインを2000年に作成した。このガイドラインは、科学的なエビデンスに基づき作成され、標準的な心肺蘇生法が世界的に普及したことで画期的なことであった。我が国においてもこのガイドライン勧告に準じて国内での指導方法が改訂された。
ILCORは米国、カナダ、欧州、オーストラリア・ニュージーランド、南アフリカ、ラテンアメリカの各蘇生協議会が加盟国であり、その地域を代表とする医師・看護師・研究者が参集し、アジアからは日本、シンガポール、台湾、韓国、中国がオブザーバーとして招聘された。
今回は、2005年勧告の改訂となり、今回が5年間にわたる作業に関する最終コンセンサスを決定する会議である。

3.今後の予定
今回の会議で得られたコンセンサス(CoSTAR)は、タスクフォースにより最終確定され、本年11月に蘇生に関するILCOR勧告としてCirculation誌とResuscitation誌に発表される予定である。その勧告に基づいて、2005年から2006年にかけて加盟各地域・各国に即したガイドラインや指導マニュアルの策定が行われる予定である。

11/28以降ERCのホームページでは「2005 CoSTR」と「ERCガイドライン2005」のPDFファイルを、AHAのホームページでは「2005 CoSTR」と「AHAガイドライン2005」のPDFファイルをそれぞれダウンロードできるようになっています。

・ERCガイドラインのページへ→

・AHAガイドラインのページ→

4.ILCORガイドライン作成の方法
国際ガイドラインの作成は、極めて綿密に行われ、また純粋に科学的根拠に基づくため各個人の企業等の関わり(Conflict of Interest)を全て明らかにすることを求められ、その時点で妥当な勧告が作成された。具体的には、2000年以降の新しい論文が収集され、400以上のトピックスについて、それぞれ複数の担当者により数百の文献から科学的に信頼性が高いものが選出された。そこからエビデンスの分析が行われ、それぞれのトピックスに関する科学的な勧告が作成された。その勧告案は、本会議と分科会において358名の参加者により、妥当性を十分吟味され、徹底的の科学性と勧告の一字一句まで修正が行われた。作業は早朝から夕刻まで10時間以上にわたり、1週間かけて、全てのトピックスに対してコンセンサスが作成された。

作業の実際
1)各トピックス(400項目以上)に関する全ての文献検索を行う。非英語論文も収集する。
AHA事務局の作業
Sources:
Medline (OVID) 1966 to June 2004 (week 2)
Cochrane Database
Embase (1966 to August 2004)
AHA EndNote Master Library accessed June 21 2004
2)条件に合致する論文を抽出する。AHA事務局の作業
3)エビデンスレベルを決定 各蘇生協議会の担当者が ワークシートを作成する。
4)研究デザインと方法で論文を評価

Citation Marker Full Citation*

Level of
Evidence
Definitions
(See manuscript for full details)
Level 1 Randomized clinical trials or meta-analyses of multiple clinical trials with substantial treatment effects
Level 2 Randomized clinical trials with smaller or less significant treatment effects
Level 3 Prospective, controlled, non-randomized, cohort studies
Level 4 Historic, non-randomized, cohort or case-control studies
Level 5 Case series: patients compiled in serial fashion, lacking a control group
Level 6 Animal studies or mechanical model studies
Level 7 Extrapolations from existing data collected for other purposes, theoretical analyses
Level 8 Rational conjecture (common sense); common practices accepted before evidence-based guidelines

5)エンドポイントの評価法を検討
A = Return of spontaneous circulation C = Survival to hospital discharge E = Other endpoint
B = Survival of event D = Intact neurological survival
F = combined death, nonfatal reinfarction, non fatal disabling stroke at 30 days
G = death or recurrent reinfarction in 42 days
H = death at 30 days

6)トピックスの仮説に対する論文内容の検討:支持、中立あるいは否定

DIRECTION of study by results &statistics:
SUPPORT
the proposal
NEUTRAL OPPOSE
the proposal

7)ガイドラインのクラス決定 Select from these summary definitions.

CLASS CLINICAL DEFINITION REQUIRED LEVEL OF EVIDENCE
Class I
Definitely recommended. Definitive,
excellent evidence provides support.
・Always acceptable, safe
・ Definitely useful
・ Proven in both efficacy & effectiveness
・ Must be used in the intended manner for proper clinical indications.
・ One or more Level 1 studies are present (with rare exceptions)
・ Study results consistently positive and compelling
Class II:
Acceptable and useful
・ Safe, acceptable
・ Clinically useful
・ Not yet confirmed definitively
・ Most evidence is positive
・ Level 1 studies are absent, or inconsistent, or lack power
・ No evidence of harm
・ Class IIa: Acceptable and useful Good evidence provides support ・ Safe, acceptable
・ Clinically useful
・ Generally higher levels of evidence
・ Results are consistently positive


・ Considered treatments of choice
・ Class IIb: Acceptable and useful
Fair evidence provides support
・ Safe, acceptable
・ Clinically useful
・ Considered optional or alternative treatments
・ Generally lower or intermediate levels of evidence
・ Generally, but not consistently, positive results
Class III:
Not acceptable, not useful, may be harmful
・ Unacceptable
・ Not useful clinically
・ May be harmful.
・ No positive high level data
・ Some studies suggest or confirm harm.
Indeterminate ・ Research just getting started.
・ Continuing area of research
・ No recommendations until further research
・ Minimal evidence is available
・ Higher studies in progress
・ Results inconsistent, contradictory
・ Results not compelling






8)科学的な評価:最終のコメント作成
REVIEWER'S FINAL COMMENTS AND ASSESSMENT OF BENEFIT / RISK:

9)重要な論文の抄録と評価を付記する。Endo-noteで管理。

10)作成されたワークシートそれぞれの担当者が発表し、妥当性を討議する。
全体会議と分科会(Stroke, ACS, First−Aid、BLS、ACLS)に分け、1日10時間、タスクは食事毎の打ち合わせもあり、1週間ホテルに缶詰状態で検討を行う。

6.実際のトピックス抜粋(重要なもの)

Sunday, January 23

First Aid, Stroke, and Acute Coronary Syndromes/Myocardial Infarction
08:45 - 09:15
What is the safety, efficacy, and feasibility of heparin UF vs LMW in prehospital and emergency department management of ACS and AMI?

[#226 A, B] Jane Lukins (A), Ari Timerman (B)
STEMIでは、6時間以内で、血栓溶解療法後、75歳以下でLMWが推奨される。
75歳以上では出血のリスクが高い
NSTEACSでは、LMWをいつ投与すべきかのエビデンスはない。
09:15 - 09:45
What is the safety, efficacy, and feasibility of IIb/IIIa Inhibitors in prehospital and emergency department management of ACS and AMI?

[#229] Yousouf Peerbaye
STEMIとNSTEACSでPCI見施行例ではabciximabはClassV
NSTEACSで6時間以内のPCI施行例には使用
日本でこれらの薬物が使用できないのは、アジア各国からも奇異に思われている(野々木)
10:10 - 10:40
What is the safety, efficacy, and feasibility of PH bypass for PTCA in prehospital and emergency department management of ACS and AMI?
[#236 A, B] Michelle Welsford (A), Cathal O'Donnell (B)

入院後にSTEMIと診断例では、PCIを目的に転送は良い、ただし2時間以内に。
院外で救急隊がSTEMIを診断して、PCI施設へ搬送することの是非に関する
エビデンスはない。発症1時間以内では、血栓溶解療法の方が予後良好
11:10 - 11:40
What is the safety, efficacy, and feasibility of ASA in prehospital and emergency department ACS and AMI?
[#225 A, B] Ivy Cheng (A), Bjug Borgundvaag* (B)

アスピリンを早期にかつ噛み砕くことについては、吸収と抗血小板作用が噛み砕く方
が早いこと。Barbashraらの報告で、院外で使用した方が早期再灌流していること
から効果があると推測。噛み砕くことでの予後に関するエビデンスはない(野々木)。
また腸溶と非腸溶で噛み砕くことが必要かのデータもない(野々木)。
13:30 - 14:00
What is the safety, efficacy, and feasibility of fibrinolytics in prehospital and emergency department management of ACS and AMI?
[#227 A, B] Monica Gope (A, B)

病院前血栓溶解療法は、治療開始までの時間の短縮、わずかであるが死亡率低下。
4時間以内のEDでの血栓溶解療法、CCUへ入室してからの比較:EDで治療開始
する方が予後良好。ただし、無作為試験ではない。現時点では、推奨できない。

8:45 - 9:45 Plenary Topics for Evaluation and Discussion
08:45 - 09:15 Impact of interruption of chest compressions.
What is the sensitivity, specificity and clinical impact of interruption of CPR to check circulation?
[#147 A, B, C] Ting Yu (A), Wanchun Tang* (B), Jeff Wassertheil* (C)
循環のサイン確認のため、心臓マッサージを停止することは予後悪化にならないか?
365論文から5論文を抽出、16秒の停止で冠動脈灌流低下、20秒停止で実験的には生存が0となった(Yu)、多くは実験的データで臨床2論文
停止時間はできるだけ短くする。
AED装着等でCPRの停止時間がCPR時間の40%以上となると、救急隊が到着する前に心拍再開は3例/187例のみとなる。1分後の循環のサイン確認は有害ではないか?
頸動脈触知に時間がかかっている、時間がかかると除細動閾値が下がる
介入の効果(DCなど)あるいは循環のサインが無い限りCPRは中断すべきで
はない。

CPR vs no CPR
[#8] Robert Berg*
15:2が実験的に救命率が高い(CCのみ、呼吸のみに比べ)
09:15 - 09:45
Is "Chest compression-only CPR" safe, effective, and feasible?
Is compression-only CPR safe, effective, and feasible? When should ventilation begin?

[#164 A, B, C]
Koster: CCのみが良いとする報告は少ない、3論文
同等とする論文が多い、電話での指示時には容認される。CPRなしよりは良いがCC
のみで良いとは推奨できない。CCのみだとPo2が低下する、Berg論文ではCCのみ
の予後は不良(実験)。心臓マッサージの回数を増やすべきかどうかのデータが必要。
Mosesso: CCのみは最初の数分に限るべきである。救急隊が5分以内に到着するな
ら容認。一般人へは、CPR無しよりはCCを勧告する。
10:10 - 10:40
Should CPR be delivered before attempted defibrillation?
Is CPR before defibrillation safe, effective and feasible?

[#177 A, B, C]
Cobb(1999): 救急隊がくるまで(ambulance response time)に4分以上たった例
ではDCの前に90秒のCPRが有効
Wik(2003);同様に5分以上経過した例ではshock前のCPRが有効
救急隊がくるまでに4-5分以上経過した例では1.5-3分のCPRがDC前に有効
実験データ:CPR追加は変化無し、VF率が上昇するデータはある(Berg)
実験データと臨床例との異なる点は、実験では薬物使用が多いこと
Time to shockを短くすることは重要
10:40 - 11:10
What is the preferred CPR compression-ventilation ratio?
Which compression-ventilation ratio is feasible, safe, and effective for which etiology, condition and age-group?

[#154 A, B]
実験:Berg、呼吸でCC中断することで冠灌流は低下する
神経学的予後が良いのは100:2(実験)、15:2より15:1が血行動態的には良い
(実験)、ただし、臨床例ではCCが増えると疲労があり時間経過とともに回数が減少する、34%はCCの速さが遅い、呼吸の時間が長い(3−8秒)、
過換気は予後不良(実験)、Bestな C:V ratioは今のところ確立していない。
15:2 vs 5:1 compression-ventilation ratio
[#3 A, B, C] Robert Hickey (A), Robert Berg* (B), James Tibballs (C)
小児:5:1より15:2が良いか?5:1は一般人には難しい、成人と共通で良い
新生児は3:1で妥当、呼吸が重要。小児15:2、成人も15:2あるいは15:1、30:1、今後アルゴリズムを検討(最終日)。

Defibrillation and Basic Life Support
08:00 - 08:45 Plenary Discussion of Monday's Two Most Controversial Topics


1. 心マと呼吸比の見直し
Lurie、Keith C:V ratio 15:2 成人から小児まで同一でよいか
15:1 成人、15:2を小児

Berg V:冠灌流は低下15:2より15:1の方が動脈圧が高い、過換気はoutput低下
Sanders,Arthur: 換気の時間が長いと灌流圧が低下、過換気で低心拍出量
心臓マッサージの回数が低下することが多い、2回のVに16秒かかっている
Kernら:Cが低下すると予後不良、Circulation 2002
30回C+2回Vで、心マの回数は現在(38:5/分)より多く得られ(55:3.6/分)、呼吸は1回減るのみ
40:1が良いとするデータがある。1分間80回C,2回のV
2. 頸動脈触知は必要か?
Koster,Rudi Tangがワークシート作成

循環のサイン:特異度36%、低い、脈触知を見直すべき。   
あえぎ呼吸は心停止のサインとして使用。正常な呼吸がなければ、生命の徴候(sign of life)なしということで循環のサインは使用しないことを勧告。

10:10 - 10:40
One shock vs three initial shocks?
Does the use of up to 3 shocks for subsequent shocks improve outcome compared with single shock?

[#69 A, B] Wanchun Tang* (A), Max Harry Weil* (B)
AEDの3shockが予後を悪化しないか?CPRを中断することになる。
3shockで1分程度中断、中断による予後悪化のデータがあり(3実験)。
1回毎のAED適用が良い。初回成功することが重要で、AED2相性での初回成功率は
90%以上
What algorithms should be recommended for AED users? One shock or three?
[#176 A, B] Wanchun Tang* (A), Rudolph Koster* (B)
2相性One-shockで90%は除細動成功、1相性では90%以下。3ショックで成功
率はあがる。しかし予後が改善したデータはない。
AEDには多種あり、また、manual DCも多種あり一定のガイドラインは困難。
14:00 - 14:30
What is the optimal drug therapy for significant bradycardia?
[#91] Swee Han Lim

ドパミンとエピネフリンのエビデンスは少ない、新たにグルカゴンとアミノフィリンの効果が検討された。ガイドラインのランクは検討すべき。

08:00 - 08:45 Plenary Discussion of Tuesday's two most controversial topics
VFあるいは心停止となると心臓は拡大する。
これに心マが加わるとサイズが小さくなり、DCの効果が良くなる。
AED初回で効果が無かった場合、2回目に移行する時間が問題。
その間にCPRを追加した方が良い。Hand-off時間を以下に短くするかがポイント
手動式では、1相性、2相性の違いは明らかでない。
Controversyテーマ:心臓マッサージと呼吸回数
できるだけ単純に、効果的に、

1.Morley
冠灌流と脳灌流を維持するためには、心臓マッサージの回数を確保する必要がある
1. 心マの停止時間が長い
2. 呼吸に時間がかかる、2回の呼吸に16秒というデータ
3. 口対口呼吸の実施が困難、
4. 心マの回数が減少している

呼吸は6回/分で十分である。心マを120/分の速さですると、回数→6:96、3:48、2:32、1:16、1回の呼吸を1秒にする。

2.Handley
BLSアルゴリズム、簡単なアルゴリズムの方が良い
1.確認と通報に引き続き、CCのみ100/分(呼吸無し)、気道の確保はする
3. AEDまで5分以上かかるなら呼吸追加、
4. AED1回後にC+V20秒毎(AEDの音声ガイド利用)

3.Berg
Etiology-based CPRを提案、目撃例の突然の心停止は小児でも心原性のことが多い
現行のCPRでは、2回の呼吸に16秒かかり、43回/分のみの心マとなっている。心マが不十分である。一方、非心原性では呼吸が重要となる

Sudden collapse:CC-CPRから始め、AED後に30:1、小児15:2
non-sudden collapse:突然心停止でなければ、成人15:1、小児15:2、

ただし、アルゴリズムが複雑となる。

08:45 - 09:45
(Double Session): Does the use of therapeutic hypothermia in the management of the patient after a cardiac arrest improve outcome?

日本からのエビデンスが採用されている。36論文中5論文 Yanagawa 1998 、Kuboyama 1993 DNagao 2000EOku 1993 ESanada 1998 E

08:45 - 11:50 Plenary Discussion of the five most controversial C2005 topics
(Coronado)

 

08:45 - 09:45
新アルゴリズムについて、呼吸:心マッサージ=2:30
AEDは1をしてCPRを行う。
この提案で最終アルゴリズムを決定することになる。

アルゴリズム案(最終決定は今後タスクで決定する)

呼びかけに反応しない:119番通報、AED手配

気道の確保
正常の呼吸無し(生命のサインなし)

2:30で呼吸と心マ
5サイクル(約2分)

AED入手、音声指示で
1回ショック   
解析なし、脈拍触知なし

2:30
5サイクル


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